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エイジンのサッカーノートU    

練習方法

プレーの質の違い

 私の手元にあるサッカー教本(1974版)にも現在の少年指導法の原型が採用されている。この種の指導書は明らかに子供に用意された技術(周到に研究されてはいるが)を行なわせるためのマニュアル本である。マニュアルどおりにいけば、ほとんどの選手がU12段階で基本技術は完成する予定なのですが、なかなかそうもいかない。なぜなら、サッカーをはじめた年齢がそれぞれ異なることや、成長速度の個人差により体格や理解度に格差がある。この年代は成長過程にあるため特に格差は顕著だ。ここが、指導者にとって一番頭を悩ませるところだろう。また、マニュアル本に従えば、基本技術練習、戦術練習、試合というながれの練習計画も、U12の大会が熾烈を極めれば、試合に勝つための戦術、そのための基本技術という逆の流れで練習しているのではないか。

 指導者の思い通りにいくのは、優秀な選手が集まってくるチームくらいだろう。それでも、試合中に選手が自由に自分の考えで動くことができるチームは最近お目にかかれない。自由が許されているのは2.3人の上手な選手だけというのが、少年サッカーの特徴に見える。
 
 さて、そういう多くの指導者が求める攻撃の戦術とはなにか。
第1にシュートまでの最短のコースを見極める。
第2にオープンスペースへのパスと走りこみからセンターリング&シュート。
第3に中盤でのパスのコンビネーションプレー。
 守備の戦術は
第1に中盤でのプレス。
第2にマークすべき相手選手の徹底とマークの受け渡し。
第3にカバーリング。
 総合的には各ポジションの役割をきちっとこなすことだろうか。こうした戦術の基本をベースにチーム独自の戦術を加味して、普段の練習が行なわれているのではないでしょうか。U12段階のチームの完成度はかなり高いものがありますが、個人の技術はまだまだ発達段階にあり、相手のマークもあることから指導者の思い描いた内容にはなかなかならない。

 指導者の焦りの声が聞こえてくる。
「なんで〜、そこへパスを出すんだ〜」
「ここは〜、オーバーラップだろ〜」
「おまえは、やる気があるのか」

 しかし、チームは強い。サッカーをかじったことのある人が見れば、驚くほど上手に見えるものです。
 マニュアルチームはゲームプランに沿った流れの試合をする。パスやドリブルがだいたい決まっていて、次に何をするか見ていてわかる。ディフェンスは危険な時はかならず大きくキック(クリヤー)をするし、攻撃は早いパス回しから一挙に来る。しかし、ようく目を凝らして見て欲しい。もし、自分の子供がやっていてら、思いっきり自由にやって欲しいと思わないか。

 私は少年サッカーに関してはマニュアルを捨てました。そして、ストリートサッカーを教則として、指導にあたることにした。
 いえ、ストリートサッカーには指導はない。指導がないということが教則なのです。したがって、我がチームは試合に勝つということが非常に大変な作業になります。やる気があるのか無いのか、判断するのも大変です。もしマニュアルの信奉者が我らがチームを見たら、「基本はマアマアだが戦術は滅茶苦茶だね」という言葉がくる。口には出さずとも目がそう言っている。 
 
 見える人が見れば明らかにプレースタイルが違います。将棋流に言えば自然流と定石(じょうせき)型にでもなるのでしょうか。
 ストリートチームは局面でサッカーをやるので、何をやるのか我がコーチや監督にも見当がつきません。局面で勝ってもパスを出さずに相手を抜くことに生きがいを感じているやつとか、相手に囲まれるのが快感で、2人以上に囲まれるまで待っているやつとか、相手がどんなに下がっていても、ボールを前に蹴って追いかけていくスピード狂。パスがうまくいけば前に進まずパスばっかりで、ミスをミスと思わない。

 創造性を通りこして自作自演のサッカーをやります。調子に乗ると驚くばかりの好プレーの連発ですが、一旦崩れ出すと惨憺たるゲームをする。荒削りとはこういうチームを言うのではないでしょうか。

 創造性に関して言えば、マニュアルの指導者が考えるそれとは、パターンから外れた意表をつくようなプレーが成功したときに、クリエイティブとかイマジネーションとして指導者が評価するふしがある。
 ゲーム中のアイデアとしては子供は評価されるべきですが、本来、子供には我々大人の考えもつかないイメージをたくさん持っているのではないでしょうか。それを出させるか、やらせないかの違いだけなのですが。

 しかし、負けることを気にしなければ、見ていて楽しいチームです。大監督とはこういうチームに耐えられる監督のことを言うのだろうか。
 コーチの私だって勝ちたいのです。「早く試合に慣れてくれ」そう祈るばかりです。

留意点  
―子供の自由な遊びから創造的なプレーは生まれる
―教えれば下手になる
―少年はブラックボックスである
―少年時代は勝つことより負けを知ることだ
―丸くてやわらかいこころを型にはめるな

 素直で純真な子ほど、教える教えられるという関係を受け入れやすい。そうなると指導者への依存という形で、遊びとはほど遠くなる。子供は真剣に練習はするが、サッカー本来の楽しさを失わせることになる。ここを最も気をつけなければならない。

練習内容
1年生から6年生まで毎回ボールリフティングとフットサル。子供はこれでまったく飽きない。しかし、ストリートサッカーの真髄はこれだけではありません。練習前の15分が勝負なのです。三々五々集まってくるが、それぞれがそれぞれのボール遊びをしています。これが、準備運動で充分。このときの子供はほんとに自我の世界に没頭している。すべてひっくるめて山名FCの練習です。


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